お知らせ

2021年11月08日
講式の伝授

海福寺住職が諏訪大明神の講式を伝授


来年、諏訪市・諏訪大社では「式年造営御柱大祭(しきねんぞうえいみはしらたいさい)」(宝殿の造り替え、また社殿の四隅に御柱(おんばしら)を建てる最大の神事)の年にあたっており、秋には諏訪信仰の仏教遺産も公開されるようです。そこで来年には神仏習合の儀式も計画されており、その時に真言宗の若手のA住職が諏訪講之式(すわこうのしき)という諏訪大明神とその本地仏(ほんじぶつ)のお徳と功徳力を讃(たた)える文章をお唱えしたいので、教えてほしいとの依頼がありました。
あらかじめ、その講式(こうしき)が送られてきたのですが、文章も文語体で、美文調(びぶんちょう)の比喩(ひゆ)・対句(ついく)等が多く、くわえて音便(おんびん)変化などにも注意しなければならず、お唱えするのにも意味がわからなければ、心をこめてお唱えできないので、ルビもつけ、現代訳もさせていただきました。
講式は下音(げおん)・初重(しょじゅう)・二重(にじゅう)・三重(さんじゅう)・中音(ちゅうおん)と音域が分かれており、高低差をつけて唱える約束があります。また、それぞれの音域により曲節も異なり、真言宗の声明(しょうみょう)(法会で唱えられる宗教音楽)の中でも、最も高度な唱え方が求められます。くわえて一つの講式を唱えるのに、たとえば涅槃講式等は一人で2時間程かかりますので体力もいります。
現在、天部や神様の講式(こうしき)で唱えられているのは高野山の明神講式(みょうじんこうしき)だけで、他にはほとんど唱えられていないのが現状です。特に、神様の講式は初重のみが祝詞読(のりとよみ)みといわれ、他の如来・菩薩・明王・祖師とは唱え方が異なり、かなり稽古をしなければ唱えられない難解な声明です。私も、教える伝授の日まで、何回も何回も反復練習をして臨みました。
11月5日、その伝授の様子を来年10月に某テレビ局で放映したいということで、A住職がそのスタッフ3人を同伴して来寺されました。私も、カメラの前で最初は緊張して唱え方もかなり不満足でしたが、最後まで伝授することができ、何とか責任の一端が果たせたなと安堵しております。くわえて、浅学非才の筆者がA住職と共に、よき勉強をさせていただいたこと、諏訪大明神と本地仏のお陰と心より尊崇感謝の誠をささげたいと思います。


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